なすこの白昼夢

ざっくばらん

Bug Fables クリア後感想

『Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木~』
Switchダウンロード版
 
総プレイ時間:約62時間(実績全解除)
寄り道なしならクリアまでの推定プレイ時間は40時間くらい
 
 
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ペーパーマリオRPGをリスペクトしたインディーゲームだときいて飛びついた。結果からいうと、システム面ではペーパーマリオRPGに夢中になっていた当時の楽しさを思い出しつつ、このゲームの魅力にもハマるという大変贅沢なプレイ体験になった。本編も寄り道要素もボリュームたっぷり。これが2000円台?マジ?

 
・戦闘中にちょっとアクション要素があるRPG、好き。Switchのスーファミ配信でスーパーマリオRPGこないかな。


・ずっとハードモードメダルつけてて、序盤~中盤はさらに敵が強くなるハードヒットメダルもつけてたんだけど、ハードヒットメダルは途中でキツすぎて外した。ハードモードメダルだけならゲームに慣れてる人ならギリギリ勝てるくらいのいい難易度になると思う。

 
・フィールド操作は慣れるまでちょっと難しく感じるかもしれない。特に手前~奥の距離感がつかみにくく、ダンジョンの謎解きでア゛ア゛ア゛ってなる場面もしばしばあった。でもちょっとがんばれば意外といけるから大丈夫。ダンジョン内にいる限りはエリア移動しても倒したモンスターが復活しないので、それでストレスはトントンかなって気もする。

 
・最大チームランク(レベル的なやつ)の上限がラスボス手前でぴったり上限にいくくらいに調整されていて、それ故にひとつレベルが上がるとさっきまで経験値をたくさんくれていた敵が急にカッスカスになる現象が起きて、ちょっとかなしくなる。でもその調整のおかげでボス戦がいい塩梅になっている気もする。あと、どうせ経験値がもらえないので「めんどいけどレベル上げのためにザコ倒すか…」っていうのをせずにオジャマケシ(メダル)で躊躇なく弱い敵をなぎ倒しながらサクサク進められるのはよかった。


・各エリアやNPCごとに仲間の会話を聞くことができる。モンスターを「かんさつ」するといきもの図鑑に載るんだけど、それも各キャラごとにコメントが違う。そのコメントも全部図鑑に載ってる。情報量がすごい。最高。


・ストーリーは、種族も性格もバラバラな3匹のムシが出会い、冒険のなかで成長し、世界を救う…という、それだけ並べるとわかりやすい明快な物語。しかし、登場するムシたちはみんな、ただの「いいヤツ」「わるいヤツ」「〇〇なヤツ」みたいな単純な要素ではできていない。このゲームの舞台であるバグアリアは、確かな生命を感じさせる。そこに生きる主人公の3匹が、それぞれの信条や矛盾や葛藤を抱えながらムシ生を過ごしてきたのがわかるからこそ、遠いどこかの綺麗なだけの物語ではなく、生々しい没入感のある物語になっている。

 

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--------------------(ここからネタバレ)
 
 
 
・第一印象でクールでスマートでかっこいいリーフが小さくてかわいい生き物が好きなことは、作品が違えば「周りにいじられたりからかわれたりする」「似合わないから…などの理由で自ら隠す」「『実は…!』的な演出で判明する」みたいな要素があったと思うんだけど、そういうのが全くなくてあくまでリーフの自然体の一部として普通に扱われてたのがとってもいいな~と思った。
 
 
・わたしはリーフのかわいい生き物好きにギャップを見出したけれども、ゲーム内のムシたちにギャップを見出したムシは(たぶん)いなかったし、そこに違和感もなかったので、プレイヤーがギャップを見出すことは必ずしも「これギャップですよ~!」っていう演出がないといけないわけではないんだなと気づいた。
 
 
・「これギャップですよ~!」っていう演出とは、前述したいじられたり自ら隠したり…といったものをよく見た覚えがあるんだけど、それって「恥ずかしい部分を暴いてやりたい欲」を満たす目的がくっついてるからじゃないだろうか。「ギャップを(勝手に)見出して内心でかわいいと思ったりより好きになること」と「それを恥ずべき事だと扱ったうえで暴いたりからかったりすること」って全然暴力性が違うと思うんだけど、いわゆる『ギャップ萌え』としては後者のほうがよく見る気がする。「隠されてる側面を暴きたい欲」があるとしてそれがあるのはただの事実だけど、それを「こういうギャップはこう扱われるのが当然」って扱いで満たそうとしてる欲の暴力性をごまかしてる感じはやだな~。
 
・「自分が思う自分のイメージに合わないと思っていて気恥ずかしい」という自意識からそれを隠す…とかならまだわからんでもないけど、「かわいいものが好きなのは男らしくないから」みたいなカビ臭い呪いからきた羞恥心はもう見たくないですわ(前者の『自意識』がどこまで個人的なものかという線引きも微妙で、環境に無自覚に植え付けられた部分もあるでしょって思うから前者なら呪いじゃないとも一概にはいえない)
 
 
・リーフがかわいい生き物を見て連れて行こうよ~って言うたびに頷いてたから、ガブガブちゃんが連れ歩けるのめっっっっちゃめちゃうれしかった。めちゃかわいいうえに強い。最高。

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そういえばチームリボンの効果わからないまま終わっちゃった

 
 
・ヴィーは生意気で欲に忠実で歯に絹着せぬ物言いが余計な一言になりがちだけど、決して悪意たっぷりの嫌味なやつとかではなく、感情豊かで基本的に素直なだけなので褒め言葉もストレートに出すのがとてもかわいい。ハラハラはするときあるけどイライラはしない。
 
 
・後半になるほどヴィーが他のムシを思いやったり優しくしたりする場面が増えるけど、それは「(以前より)利他的になった」というよりは、世界にいろんなムシがいてそれぞれの考えや思いや状況でそれぞれの生き方をしているということを「知った」ことによる変化な気がする。それを「知って」、たとえば乞食のムシは働きたくても働けないのかもと考える賢さと、ベリーを見返りなしで渡す優しさはもともとヴィーにはあったのではないか。
 
 
・ミツバチ王国の中ではヴィーはいちばんの変わり者で、もちろんミツバチにもいろんなムシがいるけどヴィーからしたらみんな「ミツバチ王国で働くことに違和感をかんじていない」という点で似たようなふうに見えていたのかな。
 
 
・ミツバチ王国を出た後はヴィー以上に利己的なムシが集まる場所で生き抜いてきたみたいだし、利他的なことを美徳とするカブのそばだからこそニュートラルに世界を見て回って視野を広げられたのかもしれない。
 
 
・カブはもともと優しいムシなんだと思うけど、利他的なのはかつて命がけで助けられたことへの罪悪感を減らしたいって側面もあるのかな。カブが優しい通り越して自己犠牲的にまではいかなかったのはヴィーがそばにいたからだろうか。
 
 
・カブとヴィーは性格面や能力面で対になっているけど、カブとヴィーに対しリーフは自分のことがわからないという出自や自我の面で対になっているの、見た目や第一印象だけじゃなくていろんなところがとてもバランスが良い3匹だと思う。
 
 
・リーフちょいちょい他ムシのこと「頭がよろしくない」って言うけど、これ悪口とか煽りのつもりじゃなくてただそう思って言っちゃってる感がタチ悪いと思う。リーフは「頭がよろしくない」は「ダメなこと」とは思ってなくて「大変そうだな〜」くらいな気がするけど、それが余計に神経を逆なでしそう。それを言われた「頭がよろしくない子」がムカつくことは一応理解はしてそうだけど「頭がよろしくないことを認められないなんてやっかいだなあ」くらいは思ってそうで下手したらそれもうっかり漏らしそう。
 
 
・ヴィーの余計な一言はヴィーの利己的な部分に由来してることが多い印象だけど、リーフの余計な一言はただの感想って感じ。
 
 
・カブが「犯罪者にジムで鍛えて健康になることを許してるっていうのか!?」って言ったのにはちょっとびっくりした。カブは優しいムシであると同時に優しくありたいと強く意識しているムシでもあり、優しくないムシ(だとカブは思っている)の犯罪者と自分の間に一線を引きたがっているのかな。実際に刑務所の中にいる犯罪者を見て、その線引きは何か変わっただろうか。
 
 
・カブは自分が刑務所に入る想像をうっかりしてしまうムシでもある。ほんとうはあっちとこっちに線なんてないことにどこかで気づいていて、うっかり「あっち側にいってしまう」ことに怯えているように見えた。正義の存在を信じたい気持ちと、裁きを下す世界への不信感みたいなものがあるのかな。熱くなって我を忘れたときになんかやらかすことに怯えてるとか、もしくはとくに理由はないけど想像しちゃっただけかもしれないけど。
 
 
・カードバトルめちゃくちゃ楽しいからオンラインでもやりたい。
 
 
・小麦粉とベリーでアメができるのでこの世界の砂糖は小麦粉。
 
 
・モシーバがほぼデレないのもいいな~って思った。図々しくてプライドが高くてあんだけやれるからこそあそこまで人気になってる部分もあるでしょと思うし。かといって誰でも彼でもモシーバを魅力的に感じるかというとそうでもなくて、ノーと言われるところではきっちりノーと言われてる、物語上のモシーバの扱いはフラットな感じがよい。ただモシーバがモシーバとして生きてるだけな感じがして好き。
 
 
・相容れない相手と相容れないまま協力してもいい。
 
 
・ザスプってモシーバぬいと一緒に寝てたりするのかな…。
 
 
・タンジェリンの故郷に行けるって本気で信じてたから、行けないと気付いたときには結構しゅんとした。リーフもしてると思う。
 
 
・タンジェリンがかわいいのでタンジェリンブラシをつくった。
 

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・タンジェリンの故郷にいくDLCの妄想をしながら寝よう。
 
 

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